All About Goats

ヤギを知る

人類がいちばん古くから連れ添ってきた家畜のひとつ、ヤギ。
その歴史・からだのしくみ・性格・日本との関わりまで、ヤギを愛するスタッフが、むずかしい言葉を使わずにたっぷりご紹介します。

はじめに ― ヤギは「いちばん古い友だち」のひとつ

犬の次に古く、人と暮らすようになった動物がヤギだといわれています。乳をくれ、毛をくれ、荷を運び、草を片づけ、ときに心まで癒してくれる――ヤギは一万年ものあいだ、世界中で人の暮らしを静かに支えてきました。このページでは、そんなヤギの「すごさ」と「かわいさ」を、専門的な内容もかみくだいてお届けします。

1. 人とヤギ、一万年の物語

古代の羊飼いとヤギの群れを描いた和風水彩イラスト

いまのヤギのご先祖は、西アジアの山岳地帯にすむ野生のヤギ「ベゾアール(パサン)」だと考えられています。人がヤギを飼いはじめたのは、今からおよそ1万500年前。麦づくりが始まったのと同じころ、「肥沃(ひよく)な三日月地帯」とよばれる中東の地(とくに現在のトルコ東部あたり)で家畜になったとされています。

これは犬に次ぐ古さで、牛や馬よりもずっと前のこと。ヤギは険しい山でも生き、少ない草でも育ち、乳も肉も毛もくれる「歩く食料庫」でした。だから人は、移動するときも旅をするときも、ヤギを連れて世界中へ広がっていきました。今では地球上に10億頭ちかくのヤギが暮らしているといわれます。

2. ヤギのからだの不思議

横長の瞳・あごひげ・角がよくわかる白ヤギの顔の和風水彩イラスト

胃が4つある ― 草を栄養に変える名人

ヤギは牛と同じ「反芻(はんすう)動物」。胃を4つもっていて、一度飲みこんだ草を口にもどし、ゆっくり噛みなおしてから消化します。休んでいるヤギが口をモグモグさせているのはこのため。人には消化できない硬い草も、おなかの中の小さな微生物の力を借りて、しっかり栄養に変えてしまう――まさに「草を生きる力に変える名人」です。

横長のひとみ ― 広い視野で敵を見張る

ヤギの目をよく見ると、黒目が横長の長方形をしています。これは草を食べる動物に共通のつくりで、頭を下げたままでもほぼ真横〜後ろ近く(約320〜340度)まで見渡せるようになっています。野生では、草を食べながら忍び寄る敵を見張るための、命を守るしくみなのです。

身軽な脚と、二つに割れたひづめ

ヤギは急な斜面や岩場をひょいひょい登る名人。ひづめが二つに割れていて、岩のわずかな出っぱりをしっかりつかめます。バランス感覚も抜群で、細い場所にも立てます。家庭で飼うときに「柵を高くしてね」とお願いするのは、この身軽さで簡単に跳び越えてしまうからなんです。

あごひげ・角・鳴き声

あごの下のおひげ(かわいい長老のよう)、頭の角、そして「メェ〜」という鳴き声。じつは鳴き声には一頭ずつクセ(個性)があり、お互いを声で聞き分けているといわれます。母ヤギと子ヤギは、声でちゃんと相手がわかるのです。

3. 賢くて、社交家。ヤギの性格

人の手からエサをもらう、人になついた賢い白ヤギの和風水彩イラスト

ヤギは見た目ののんびりした印象とちがって、とても頭のいい動物です。簡単な仕掛け(レバーを引いてエサを出す箱など)を自分で解いて覚え、しかも数ヶ月たっても忘れないことが研究でわかっています。人の表情を見分け、機嫌のよい顔を好むという報告もあります。

ヤギの性格・3つの特徴
  • 好奇心おうせい ― 新しいものを口や鼻で確かめたがる。だから脱走の名人にも
  • さみしがりや ― 本来は群れで暮らす動物。仲間や人とのつながりを求めます
  • 一頭ずつ性格がちがう ― 甘えん坊、わんぱく、おっとり…まるで人のよう

人によくなつき、名前を呼べば寄ってくる子もいます。一方で「群れの動物」だからこそ、ひとりぼっちは苦手。飼うときに2頭以上をおすすめするのは、ヤギの心の健康のためでもあります。

4. 実はグルメ?ヤギの食べ方

立ち上がって木の葉をつまみ食いする白ヤギの和風水彩イラスト

「ヤギは何でも食べる」とよくいわれますが、これは半分ほんとうで半分まちがい。ヤギは牛のように地面の草だけを食べるのではなく、木の葉や枝、背の高い雑草を好んでつまみ食いするタイプ(専門的には「ブラウザー」)です。いろいろな種類を少しずつ、立ち上がってでも好みの葉をねらう――意外とえり好みするグルメなのです。

この性質のおかげで、機械では刈りにくい斜面のやぶや、つる草・ササまでモリモリ食べてくれます。これが「ヤギ除草」が役に立つ理由です。なお「紙を食べる」というのは昔のイメージで、いまの紙は体によくないので食べさせてはいけません。飼い方ガイドで、食べてよいもの・いけないもの(有毒植物)もくわしく紹介しています。

5. ヤギが人にくれるもの

ヤギミルク・チーズ・毛糸とヤギを描いた和風水彩イラスト
  • ミルク ― ヤギ乳は牛乳より粒子が細かく、おなかにやさしいといわれます。チーズやせっけんにも
  • 除草の力 ― 食べて土地をきれいにし、フンは天然の肥料に。燃料も騒音もゼロ
  • 毛(けがわ) ― カシミヤやモヘアといった高級な繊維は、じつはヤギの毛から生まれます
  • 癒し ― おだやかなヤギは、学校や福祉施設での「ふれあい・アニマルセラピー」でも活躍します
  • 景観と文化 ― 里山の手入れや、地域のシンボルとして人をつなぐ存在にも

6. 日本とヤギの関わり

日本の里山にいる小型の在来ヤギの和風水彩イラスト

日本にヤギがやってきたのは、15世紀ごろ。東南アジアから琉球(いまの沖縄)や九州に伝わったのが始まりとされ、とくに島々では古くから暮らしのそばにいました。沖縄では「ヤギ汁(ひーじゃー汁)」など、ヤギを食文化に取り入れてきた歴史もあります。

戦後の食料が乏しい時代には、せまい土地でも飼えて乳をくれるヤギが各家庭で大切にされ、「庭先のミルク係」として日本中で活躍しました。今のお年寄りの中には「子どものころヤギの乳で育った」という方も少なくありません。

日本の主なヤギ
  • トカラヤギ ― 鹿児島県トカラ列島原産の在来種。体重20〜30kgと小柄で丈夫、ペットにも人気
  • シバヤギ ― 長崎県・五島列島などが原産の在来種。30〜40kgで白い毛が多い
  • ザーネン種 ― スイス生まれの乳用ヤギ。体が大きく乳量が多い。日本の酪農でもおなじみ

7. 世界のヤギたち

アンゴラ・ザーネン・在来種など世界のさまざまな品種のヤギを描いた和風水彩イラスト

世界には300以上の品種のヤギがいるといわれ、その姿は実にさまざま。乳をたくさん出すザーネン、ふわふわの毛をとるアンゴラ(モヘア)やカシミヤ、肉用にがっしりしたボア種など、人が用途に合わせて育ててきました。

なかにはユニークな仲間も。びっくりすると体がこわばって倒れこむように見える「気絶ヤギ(マイオトニックゴート)」や、木の上のほうまで登って実を食べるモロッコの「木登りヤギ」など、ヤギの多才さと適応力には驚かされます。

8. へぇ!となるヤギの豆知識

高い岩の上に得意げに立つ白ヤギの和風水彩イラスト
  • ヤギの瞳が横長なのは、広く見張るため。ちなみに登るときは瞳がいつも水平を保つように動きます
  • ヤギは高い所が大好き。岩や小屋の屋根に登って景色をながめることも
  • 「メェ」の声は一頭ずつ違い、仲間や母子は声で互いを識別します
  • 十二支(干支)の「未(ひつじ)」は、地域によってはヤギを指すともいわれます
  • ヤギの寿命は10〜15年ほど。長生きの子は20年近く生きることも
  • 紙を食べるイメージは昔の話。いまの紙は体に悪いので与えてはいけません
もっとヤギと仲良くなりたくなったら

ヤギのことを知るほど、その魅力にハマってしまうもの。「飼ってみたい」と思ったら、まずは飼い方ガイドで必要な準備を確認してみてください。お迎えのご相談や、どんな子が合うかの相談は、いつでも無料でお受けしています。

知れば知るほど、好きになる。

ヤギワールドは、ヤギの魅力を伝え、ヤギと人のしあわせな出会いをつくります。気になることは何でも、お気軽にご相談ください。

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